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マダニの恐ろしい生態と感染しないための対策のまとめ

次第に広がるデング熱の感染

最近、マダニによるデング熱感染のニュースをよく聞きます。しかも、重症化したり死亡するケースも出ています。

身近にいるマダニとデング熱感染について紹介します。

デング熱の感染経路

デング熱の場合感染経路は明らかです。人から人へは感染しません。媒介しているのは「蚊」です。デングウィルスに感染した人や動物の血を吸うと蚊の体内にウィルスが入り込みます。

それから約10日でウィルスが蚊の腸に入り込みます。そうなると、蚊の唾液に含まれるようになり媒介者なります。蚊の寿命は長くて14日から21日なので、媒介する前に死んでしまう蚊もいます。。

すべての蚊が媒介するわけではありませんが、ヤブカやネッタイシマカといった比較的日本中どこにもいる蚊が媒介します。しかし、感染経路が蚊だということが分かっていればある程度は対策を立てることができます。

<参考記事>デング熱にかからないために知っておくべき蚊の生態と虫除けグッズ

感染したとしても8割の人は無症状または軽症で済みますので、必要以上に恐れる必要はありません。

2回目以降の感染は注意が必要

しかし、2回目以降の感染は場合によっては重症化することがあります。1回目に刺された時に軽症や無症状でいつの間にか治癒してしまった人や海外で刺されたことのある人は注意が必要です。

蚊は寒くなり15度以下になるとほとんど活動しなくなりますので、寒くなるまでは注意しましょう。

沈黙の暗殺者それは「マダニ」

デング熱の感染では身近にいる蚊が思わぬ脅威となってしまいましたが、実はもっと怖いものが身近にいます。それは「マダニ」です。

マダニの生態

マダニ(真蜱)とは、あるダニの名前ではなく、節足動物門鋏角亜門クモ綱ダニ目マダニ亜目マダニ科に属するダニの総称のことを指しています。

世界中に800種いるとされ、そのうち日本には47種類が確認知されています。

madani

家の中で見るいわゆる家ダニより大きく3~8mmの大きさがあり、吸血後は1~2cmまで膨れあがりかなりの大きさになります。

普段は山林に生息してウサギ、小鳥、ネズミなどの皮膚から吸血をしています。

マダニの栄養源と吸血方法

血を吸うのは一生で3回だけ

マダニは動物の皮膚から吸血することで栄養を得ています。といっても吸血するのは一生のうちで栄養を必要とする「幼虫から若虫への脱皮」、「若虫から成虫への脱皮」「交尾と産卵」の時の3回だけです。それ以外は絶食でも長期間生きていることができます。

普段は草むらやなどにひそみ、動物の発する二酸化炭素や臭い、振動に反応して飛び移ります。

血の吸い方が怖い・・・

マダニの吸血方法は特殊です。例えば「蚊」は、動物の皮膚に針状のストローのようなものを皮膚に刺して、毛細血管から直接血を吸います。

それに対してマダニは、皮膚に噛み付きます。ギザギザした口で噛み付くとことでしっかりくっつきます。やがてにじみ出た血が貯まるのでそれを吸い上げます。

この時マダニの口からは血液を凝固させない(溶解する)成分や皮膚と口をしっかり結合させるような成分(接着剤のような役目)が分泌されます。

このような仕組みでマダニは吸血しますが、吸血は長時間に及びます。なんと吸血を始めたから6~10日はそのままくっついています。そして、約1mlを吸血すると自然に離れます。

マダニによる恐ろしい感染症への感染

マダニは、動物(=宿主)の皮膚から長時間吸血を続けます。
吸血した血液は体内で栄養素だけを濃縮し、残りの水分を唾液として宿主に戻します。

吸血開始直後はゆっくりとした吸血ですが、数日後加速して吸血と濃縮、水分の吐き戻しが進みます。この時唾液による皮膚組織の溶解や壊死が加速し、ウィルス伝播の危険性が一気に高くなります。

吸血開始後48時間以降が特に危険

マダニに吸血され始めた直後より時間が経ってからウィルス感染のリスクが高まるといわれています。吸血が加速するのに数日間、吸血をきっかけとしてマダニの体内の関連器官やウィルスが活性化するのには36~48時間程度かかるといわれています。刺されたらすぐに医療機関の受診することが大切です。

マダニ吸血画像jpg

マダニが媒介する感染症

マダニは実にさまざまな感染症を媒介します。マダニしか媒介しないものも多数あります。
主なものはQ熱(リケッチア)、ライム病、ボレリア症、野兎病、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、ダニ媒介脳炎、ナイロウィルス熱です。

日本紅斑熱

日本紅斑熱リケッチアの感染によって引き起こされます。関東以西のみで見られる比較的新しい感染症です。

症状は、かゆみのない発疹や発熱などです。早めの医療機関の受診が大切です。受診時に山林や草むらに入ったことを伝えておけば診断に役立ちます。抗生物質が著効するため、治療は点滴と抗生物質の投与が行われます。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS): 死亡率3割!!

現在日本国内で大問題となっている感染症です。マダニが媒介するSFTSウィルスによって引き起こされます。

症状としては1~2週間の潜伏期間の後、発熱、嘔吐、下痢症状が出ます。重症になると出血性の症状となり危険な状態となります。

2013年1月に国内で初めて報告されてから1年半で感染者は85人でそのうちの3割にあたる26人が亡くなっています。

マダニ刺されてしまったら

つぶしたり自分で剥がすのは危険!

マダニは比較的大きく、特に吸血中は10倍以上大きく膨らみます。見た目でも分かります。こんなのが吸い付いていればすぐに払いのけたり、潰したりしたくなりますが、それが一番危険です。

吸血前後
<左:吸血前  右:吸血後>

注意
マダニの体内には様々なウィルスが済みついています。唾液に含まれないウィルスもいます。マダニを無理に取ろうとすると、体だけ取れて頭や吸い付いた口だけ残ることがあります。
また、潰すと体内にあるウィルスや唾液以外に含まれるウィルスも飛び出てきます。噛み付いた傷口や手に付着したウィルスが経口で体内に入る恐れがあります。

一番良いのは、すぐに皮膚科を受診して、専用の器具や薬品で体ごと皮膚からとるか、専用のピンセットなどを使って安全にとることです。不用意に潰したりしないようにしましょう。

また刺されてから数日は、体調の変化に注意して異変があれば直ぐに病院を受診しましょう。重症になっても直ぐに対処できる大きな病院がお勧めです。

刺されないようにするためには

マダニの生息場所

マダニはネズミやウサギ、鹿など野生の動物が出没する環境に潜んでいます。
民家の裏山や裏庭、畑、あぜ道など身近なところにも生息しています。
特に山林や草むらを歩くときは注意しましょう。

マダニへの対策

皮膚の露出部を減らすのが大切です

マダニは動物を見つける器官が発達している(二酸化炭素、臭い、振動など)ため、
自然に寄ってきます。いつの間にかくっついていることもあります。

服装は、肌を露出しないよう、長袖、長ズボン、長靴を着用しましょう。特に農作業をするときは、ズボンのすそは長靴の中に入れたり、シャツの袖口は手袋に入れるなど、隙間が無いようにしましょう。首にはタオルを巻くのが効果的です。
帰宅後は上着などはすぐに室内に持ち込まず外でマダニが付いていないか確認しましょう。

早く見つけるのが大切です

マダニは吸血を始めてから数日後がもっともウィルス感染の危険が高まります。早い発見が肝心です。
入浴中にマダニが噛み付いていないかしっかり観察しましょう。みつけたときは無理に取らないで医療機関を受診しましょう。

忌避剤でマダニを寄せ付けない

マダニ対策にマダニ用の虫除け剤(忌避剤)

ただし、忌避剤は全固体を完全に排除できるものではありません。付着する数や可能性を減少させるのに効果です。適切な服装と併用することでより効果的になります。

マダニに刺されたり感染症によって重症化しないためのまとめ

・まずは刺されないことが大事。必要がなければ山林や草むらに入らない
・山林や草むらに入る時は、隙間ができない様に衣類で肌を覆う
・ツツガムシ用の忌避剤を使う
・お風呂で体中を観察する
・自分でマダニを剥がしたり、つぶしたりしない
・刺されたらすぐに大きめの医療機関を受診する
・刺されて数日間は体調の変化に注意する

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