病院で行うMRI検査はどんな検査?なぜうるさいの?
病気やケガをすると撮ることがある「MRI検査」について紹介します。
MRIはMagnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像法)の頭文字をとったものです。
病院で行われる画像検査のひとつです。
特徴としては、強力な磁力と電波を使うこと、音がうるさいこと、検査時間が長いことです。
MRIで検査できること
MRIは、体中どこでも、どの方向からでも撮影することができます。
特に、脳や筋肉、脂肪、内臓などの軟部組織と呼ばれるものを詳しく見ることができます。
また、さまざまな撮影方法を組み合わせることで、形だけでなく、軟部組織の成分の変化などを見つけることができます。
そのため、感度や特異度が非常に高い検査として広く利用されています。
用語解説
- 感度:異常部位を検出する力
- 特異度:異常部位が何であるか判別する力
体の部位とMRI検査
頭部領域
脳はMRIが最も得意とするところで、脳梗塞や血管の狭窄、加齢に伴う脳の委縮、脳の腫瘍をはじめとしたいろいろな病気を見つけだすことができます。必要に応じて造影検査が行われます。
造影剤を使った造影検査では、造影剤の広がり具合から脳腫瘍の広がり診断、種類の鑑別、炎症の有無と範囲の検出、脳血管の走行や形態の確認、病変と血管との位置関係の把握、病変部の血流評価など、さらに詳しく知ることがができます。
頸部領域
口腔内から鎖骨くらまでは頸部領域のなります。口や舌の動き、呼吸による体動が起きやすい場所なので、MRIにとっては少し不得意な場所になります。
耳下腺腫瘍や咽頭・喉頭がん、舌癌などの広がりやがん病変に伴うリンパ節転移などを調べます。
心臓領域
心臓は常に動いているため、従来はうまく撮影できませんでした。しかし、最近は心電図同期を使うことで、動いている心臓の働きを鮮明に調べることができるようになりました。
また、造影剤を使って心内膜の炎症などを調べたり、CINE(シネ)撮影を使った心機能の評価なども盛んに行われています。
腹部領域
腹部は呼吸によって動くため、20秒程度の息止めをしてもらい、その間に撮影を行います。その撮影を何度も繰り返して撮影をしていきます。
造影剤を使ったダイナミック撮影で、腫瘍の性状診断(腫瘍の種類を調べる)こともできます。
骨盤領域
女性の場合は、子宮筋腫、子宮頸がん、子宮体癌などの精密検査がよく行われます。
男性の場合は、前立腺がんの検査がよく行われます。いずれも、造影剤を使うとより詳しく調べることができます。
ブスコパンやグルカゴンを使って腸管の動きを止めてから検査をすることもあります。
MRIの検査時間
MRI検査は、造影剤を使う場合と使わない場合があります。どちらにするかは主治医の先生が判断して検査の依頼をします。
検査時間は、検査内容によって違いますが、20~40分くらいかかります。
MRIはなぜ時間がかかるの?
MRIは体の中を撮影していますが、一度の検査でいろいろな画像を撮影してます。体の構造や形がよく見える撮影、水分が見やすい撮影、脂肪が写らないようにした撮影、造影剤がよく見える撮影などさまざまです。
それに加えて、いろいろな方向から撮影をします。そのため時間がかかります。
MRIはもっと早く撮れないの?
MRIの画像は、細かくきれいに撮れた方が病変が見つけやすくなります。
きれいに撮るには十分な時間をかける必要があります。時間を短くして早く撮ることは可能ですが、それだけ画質が悪くなります。
かといって、時間をかけすぎると動いてしまい、ぶれた画像になってしまいます。検査時間は、十分な画質と動かないで我慢できる時間を考えて設定されています。
早く終わりたい気持ちはわかりますが、きれいに撮っていると思ってがんばってください。
MRIはなぜ大きな音がするのか?
MRI検査には大きな音がつきものです。この音のせいでMRI検査を苦手とする人もいます。
この音は、ただ出しているわけではありません。どうしても出てしまうのです。
MRI装置の仕組み
昔、理科の実験で作った電磁石を思い出してください。
電磁石では、ぐるぐるに巻かれた銅線に電気を流すと磁力が発生します。
MRI装置のトンネルの周りは、銅線がぐるぐるに巻かれていて、電気を流すことで内部に強力な磁場が発生します。
内部の磁力は、1T(テスラ)~3Tという非常に強力な磁力となります。
MRI検査はこのトンネルの中入って(寝て)行われます。
MRI検査でうるさい音がする理由
少し難しい説明になりますが、MRIでは、体の中から発生する信号を効率よく取り出すために、装置の中の磁界の向きや力を頻繁に切り替えています。
切り替えるスピードは、非常に速く、数msec(1秒の1000分の1)ごとに切り替えます。
電磁石に電流が流れると、磁界が発生しますが、同時に力が発生します。(フレミング左手の法則)
その力は、電磁石そのものををわずかに動かし振動します。そのため、磁界が切り替わるたびに、銅線でできたコイルは、逆方向に揺さぶられ振動します。
このときの音が、MRI検査での騒音となります。
実際のMRIはどんな音?
MRIの音は撮影時のコイルの振動が原因ですが、撮影の種類によって音が違います。
よく、「工事現場みたいな音がする」と説明されますが、実際はこんな音です。(00:08秒くらいからが撮影中の音です)
うるさいですよね・・・。この音が、検査中ずっと鳴っています。
撮影の種類によって音が違いますが、ほとんどがうるさいです。装置は少し振動しますが、安全上問題はありません。
MRIの音は検査の仕組み上、どうしてもでてしまうものです。大変だと思いますが、とても役に立つ検査ですのでがんばって受けてみましょう。
こんな単調な音じゃなくもっと変化があってゴトン、ガンガンなどまさに工事現場
紹介したのは一部ですので。もちろん撮影法によって音は違いますよ~。