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心筋梗塞の危険性を調べる心筋シンチグラフィ(心血流シンチグラフィ)の役割

心筋梗塞などの心事故の予測ができる!

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心臓は毎日休まず私達の体の血液を循環させてくれています。

心臓は成人で250g~300gとペットボトル一個分にも満たない重さの臓器です。

この握りこぶし程度の大きさしかない心臓は、1日に10万回以上拍動して6,000リットル以上の血液を送り出しいます。

近年この心臓疾患が原因で死亡する人が増えています。

心臓病は死因のトップクラス

心臓病は多くの先進国で死因のトップとなっています。

日本では死亡原因の第2位となっています。心臓病といってもさまざまなものがありますが、死亡原因の8割は心筋梗塞や心筋梗塞が引き金となる疾患です。

死因

心筋梗塞について

心筋梗塞は、その名のとおり心臓の筋肉に梗塞が起こる疾患です。

心臓大部分は心筋という筋肉でできています。この心筋には、冠状動脈という心臓専用の血管で栄養が運ばれています。

もしこの血管に何か問題があって血液が途絶えると、酸素と栄養が不足し細胞が死んでしまいます。これを「梗塞」といいます。

脳の細胞で起きれば脳梗塞、心臓におきれば心筋梗塞です。心筋梗塞が起きると心臓が血液を送り出せなくなり、その結果、重篤な状態に陥ります。つまり死亡します。

心筋梗塞が起こるまで

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心臓の血液を送る冠状動脈は、何本にも枝分かれしています。その血管が細くなったり、詰ってしまうと血液が流れなくなります。その原因の多くは動脈硬化や血栓です。

動脈硬化は、血液中のコレステロール高血圧などの物理的要因で血管の内側が傷つけられることではじまります。

この時、マクロファージという修復専門の細胞が血管壁の中に現れます。血液中のコレステロールが高いとマクロファージによって酸化されたコレステロールが血管壁の中に取り込まれます。これがプラークと呼ばれるものです。

プラークが溜まると、血管が狭くなります。このとき血管の壁は非常にもろくなっていて、何かのきっかけで破れます。破れると出血が起きてそれが固まって血栓となります。

血栓は血液の小さな塊です。この塊が流れていくと、さらに先の細い血管を詰まらせるため梗塞となります。

このように心筋梗塞が起こるまでは、いくつかの段階と期間があります。

一過性の虚血

血管が細くなると、心臓に送る血液が少なくなります。安静時にはなんとも無くても、血液がたくさん必要になる運動時などでは一時的に血液が不足することがあります。これを「虚血」といいます。

一時的に血液が足りなくなるので、その時だけ激しい胸痛がありますが、安静にもどると痛みは消えます。このような疾患を「虚血性心疾患」といいます。

階段を上ると心臓が苦しくなるけど、休むとなんともないというような状態です。

この状態は、血管が細くなっていて血液の供給量がギリギリということを示しています。一時的な虚血であれば、血流の再開で元にもどります。このような状態を放置すると安静時にも血液が足りなくなって「梗塞」になる可能性があります。

心臓カテーテル検査

心臓に血液を送る冠状動脈の状態を見るにはいくつかの方法があります。その中で最も詳しく検査できるのが「心臓カテーテル検査」です。心臓カテーテル検査は、足の付け根(鼠蹊部)または腕から血管の中にカテーテルといわれる細い管を入れて行う検査です。

X線を使った透視装置を使いながら、細い管を操作して血管内を進み心臓まで到達させます。そこで、造影剤という放射線を通さない薬剤を流します。

造影剤は血管を通って流れますが、放射線を通さないのでそこだけ影となります。その影を観察することで血管の太さや詰まっているところがないかを調べます。

カテーテルを入れるときは局所麻酔を使い、カテーテルや周りのもの、手術をする医師やスタッフはすべて清潔な状態で行います。通常の手術並みの体制が必要です。

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いくつかある冠状動脈を選んで造影剤を流すことでより詳しい情報が得られます。

また、バルーンと呼ばれる小さな風船をカテーテルの中から入れて血管内で膨らますことで、狭くなった血管を広げることもできます。

その後、ステントと呼ばれる器具で血管が再び狭くならないように処置をすることが可能です。

心臓カテーテル検査の問題点

心臓カテーテル検査は、冠状動脈の状態を詳しく検査でき、また治療も可能な検査です。心疾患が疑われるすべての患者さんに行われるのが理想です。

しかし、いくつか問題があります。まずこの検査(治療)には、心臓カテーテル室という特別な設備必要です。また検査や治療を行うのは専門の訓練を積んだ循環器科医師や放射線科医師です。

時間も数時間を要しますので、この検査を受けられる患者さんは限られてしまいます。死因がトップクラスということはそれだけ対象となる患者さんも多いわけで、到底追いつきません。

また、長時間放射線を浴びること、大量の造影剤を使うことから体への負担の高い検査です。※造影剤アレルギーのある方は検査を受けられません。

心筋シンチグラフィ

心筋シンチグラフィは核医学検査の一種です。心筋の血液量を画像化することができます。

心筋シンチグラフィでは、いくつかの放射性医薬品が使われます。TL(タリウム)という放射性核種を使った210TLCL(塩化タリウム)や99mTc-MIBI、99mTC-テトラホスミンなどが主に使われます。

ここでは210TLCL(塩化タリウム)を使った負荷心筋血流シンチグラフィについて紹介します。

心血流が分かる仕組み

心臓の筋肉はNa-Kポンプという仕組みを利用して、収縮と拡張(小さくなったり大きくなったり)を繰り返しています。この時Na(ナトリウム)とK(カリウム)は心筋細胞内を出たり入ったりします。

201TLCLに含まれるTL(タリウム)は、K(カリウム)と性質が似ています。血液中に注射するとk(カリウム)と同じようにNa-Kポンプで使われます。そのため、血流が多いところほど多く使われます。

その様子を放射線を画像化できるSPECT装置を使って撮影することで血流の量の分布を知ることができます。SPECT検査では、検査後に任意の断面を設定して画像を作ることができます。

負荷検査

心筋シンチグラフィでは、エルゴメーター(ジムにあるような自転車)やトレッドミル(ランニングマシーン)を使って心臓に負荷をかけたり、特別な薬剤を使って心筋に負荷をかけ血流を増やした状態で201TLCLを注射することで、運動している時の血流の様子を見ることができます。

心臓に負荷をかけて検査をすることで、運動時に虚血になる虚血性心疾患を見つけ出したり、安静時での血流の低下をより鋭敏に見つけだすことができます。

安静時の画像

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心筋に負荷をかけたときの画像

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欠損部位が血流が不足している領域

心筋シンチグラフィの利点

数々の研究や検討からこの検査が鋭敏に血流低下領域を見つけだせることが分かっています。

この検査によって、その患者さんがその後心筋梗塞などの心事故が起こるリスク起きるかどうかを正確に予想できることもできます。

心筋新地は負担が少ない

心筋シンチグラフィは、カテーテル検査のように麻酔をつかったり、造影剤を大量に使ったりする必要はありません。腕から数CCお薬を入れるだけです。

また1回の検査は1時間程度(安静時+負荷時撮影2回の合計)で終わります。負荷の検査をすることで、運動時の血流も観察できます。

心筋シンチグラフィは、負担をかけずに心筋の状態や心事故のリスクを知ることができる検査です。放射性医薬品によるわずかな被ばくはありますが、心臓カテーテル検査よりも少ない量です。

心筋シンチは心臓疾患がある人には欠かせない検査です。

負担が少なく、心筋梗塞の危険度がわかる心筋シンチは、心臓疾患をもつ患者さんにとってなくてはならない検査です。

スクリーニングの検査やフォローアップ検査として行い、何か問題があれば心臓カテーテル検査で詳しく検査と治療を行うというのが最も理想的な流れです。

もし胸痛など気になる方ははやめに循環器科のある病院を受診しましょう。

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