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手術で体内にガーゼを置き忘れる原因とその対策

最近、数十年前の手術の時に体内に置き忘れたガーゼが発見されたというニュースがありました。このような事故は毎年必ず起きています。事故が起きる背景と現場で行っている対策について紹介します。

新潟県立新発田病院(新発田市)は25日、新潟市内に住む60代の女性の体内に、手術の際に使ったガーゼを27年間放置する医療事故があったと発表した。
病院によると、女性は1987年5月、右足太ももの骨髄の部分に鉄の棒を入れ、骨を矯正する手術を受けたが、執刀医は血液を拭き取るガーゼを体内に放置したままだった。(2014.12.27 Yahoo news)

手術で使ったガーゼを体内に忘れるというニュースがありました。過去にも同じような事故が起きています。

ガーゼを体内に残してしまう??

そんなバカなことあるのか!? と思われるかもしれませんが、あり得ないことではありません。

手術でガーゼを使うわけ

外科手術では、体の一部が切除されます。その時は必ず出血が起こります。

レーザーメスなどを使えば、切ると同時に切除部も焼かれるため出血をある程度抑えることができます。しかしゼロにすることはできません。

また、使える部分は限られています。

手術中に出血すると、手術をする場所(術野)が見にくくなるため、ガーゼや吸引装置などを使って血液を取り除きます。

ドポドポと出る血液は吸引機によって取り除かれます。

にじみ出る血液に対してはガーゼが使われます。出血してしている部位に直接ガーゼが置かれます。

ガーゼを見失うわけ

場合によっては臓器(肺や肝臓や心臓など)の裏側に入れることもあります。また、手術中に臓器を動かした場合などに、ガーゼが裏側に入り込んでしまう場合があります。

特に腹部の手術では、たくさんの臓器が重なるようにあります。

執刀医は、目的部位を切除することに集中しています。血管を傷つけないように、切除範囲が大きすぎないように、あるいは小さすぎないように細心の注意を払っています。
部位によっては顕微鏡のようなものを使って狭い範囲だけを見て手術をすることもあります。

長時間(場合によっては12時間以上)かかる手術中にガーゼを見失うこともあり得ない話ではありません。

ガーゼカウント

無事に目的の手術が終わると、最後に開いた胸やお腹を閉じ(縫合する)ますが、その前に必ずガーゼの数を数えます。

ガーゼは手術を始める前に数を数えてあります。出血が多く追加で出す時も数えてあります。

使われたガーゼの数と体外にあるガーゼの数が一致するか調べます。

これが「ガーゼカウント」です。これで一致すれば問題ありません。

ガーゼカウントが一致しても体内に置き忘れてしまう場合

通常はガーゼカウントがあっていれば、体内にガーゼが残っていることは物理的にありえません。

それでも事故が起こるのはなぜでしょう?

考えられるのはこの2つです。

・手術前に数えたガーゼ、追加したガーゼの数の数え間違い

・お腹を閉じる前の体外にあるガーゼの数の数え間違い

要するに単純な数え間違いがもっとも大きな原因です。

数時間~数十時間の手術ではみんなヘトヘトです。こんなヒューマンエラーが一番の原因です。

レントゲンを使ったチェック方法

それでは、数が一致しない時はどうするのでしょうか?数が一致しないということは、体内に残っている可能性が一番高いです。

まれに、器具の隙間や患者さんを覆う滅菌シーツに隠れている場合もあります。また単純にガーゼの数え間違いという場合もあります。

そんな時にはレントゲン撮影が行われます。

手術用のガーゼは特殊な作りをしています。ガーゼ自体にX線を通さない細い糸が縫い付けてあるのです。

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レントゲンを撮るとこの糸が写ります。これによってガーゼの存在や位置を知ることができます。

写らなければ器具やシーツの隙間など体外にある可能性も考えられます。

ダブルチェックとしての撮影

最近では、ガーゼカウントが一致していても、ダブルチェックをするために必ずレントゲン撮影を行っている病院もあります。

またそのレントゲン写真は、体内に残していないという証拠にもなります。

全ての手術でレントゲン撮影を行えばガーゼの置き忘れという事故は減るかもしれません。

しかし、手術は深夜まで行われることもあり、マンパワーの問題で撮影ができない施設もあり、必ずできるというわけではありません。

今のところは、ガーゼカウントに頼るしかありませんが小型のICタグや外からガーゼの存在を検出できる技術ができれば、このような事故は減るかもしれません。

今後、新たな方法がでてくることを期待します。

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