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dat scan(ダットスキャン)やMIBG検査で認知症を早期診断。早期治療が家族の負担を和らげます。

認知症になる人が増えている

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程度に個人差はありますが、年齢と共に脳の機能が落ちることは自然なことです。

しかし、単に脳全体の機能が落ちるのではなく、何かの原因で特定の機能が落ちてしまうのが「認知症」の特徴です。

脳の機能分担

脳は場所によって担当している機能が違います。

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よって、脳のどこかの部分の調子が悪くなると、その部分が担当していた機能が低下します。

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認知症での臨床症状

認知症の診断では症状の観察が非常に大切です。医師は患者さんが診察室に入った時から、歩き方、座り方、話かたすべてを見ています。

本人が気づかないだけで、認知症の症状はかならず現れています。このようないわゆる臨床症状は、脳の機能の落ちる場所で変わりますので、診断する上でとても重要です。

診察では

①家族に普段の生活の様子を聞く
②本人に問診などして話を聞く
③脳の働きを見るテストをする(MMSEテストなど)

などが行われます。

脳の機能をみる簡易検査 MMSEテスト

認知症の診察で行われる簡易テストをMMSE(Mini-Mental State Examination=認知機能検査)といいます。

認知機能や記憶力に関する11の項目があります。

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得点の合計によって

27~30点・・・正常値
22~26点・・・軽度認知障害のある可能性がある
21点以下・・・認知障害がある可能性が高い

と判定されます。この点数だけで判断されるわけではありませんが、症状の程度を示す値として記録されます。

60歳からの脳トレ もの忘れ、認知症にならない昭和思い出しテスト

認知症の画像検査

その他の検査としては、画像検査が行われることがあります。

認知症は同じような症状を示すことが多く、また加齢による認知機能の低下と区別がつきにくい時があります。そんなときは、より確実な診断をするために画像検査が利用されます。

MRI検査

磁石と電波を利用した検査です。狭いトンネルの中で横になって20分程度の撮影です。

脳の萎縮の程度や加齢性の変性の有無、また血管障害や腫瘍などの病変が無いかなどをチェックするのが目的です。

VSRAD(早期アルツハイマー型認知症(痴呆症)診断支援システム)などを利用して健常者との萎縮の度合いや場所を比較して診断に役立てている病院もあります。

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脳血流シンチグラフィ検査

放射能を出す放射性核種と脳の組織中に入り留まる性質を持つ成分とを結合させた放射性医薬品を使った検査です。

この薬剤を血管内に注射すると、動脈を通って脳の中に入ります。血流が多いところほど多く入り、少ない所ほど少なく入ります。放射性医薬品は微量の放射線を出しているためそれを検出して画像化することで、脳の血流の度合いを見ることができます。

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統計学的な手法を用いると、健常人との脳血流の比較をすることができます。

薬剤の種類や年齢、性別も考慮した比較になるため、客観的に高精度での比較が可能です。

また、全体を分かりやすく表示できるため、血流低下領域のパターンが認識しやすい特徴があります。ただし、用途は補助的な利用に限られています。

多くは、患者さんや家族に病状を説明する時に使われます。分かりやすく表示されていることで、患者さん本人や家族に認知症であることを納得してもらいやすくなります。

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<関連記事>Datscanだけじゃない!!認知症診断のための画像検査

家族が認知症のなってしまったら―認知症の人への対応がよくわかるQ&Aブック

Datscan 脳シンチグラフィ検査

脳血流シンチグラフィと同じく放射性医薬品を使った検査です。datscanによる検査は日本では2014年1月からできるようになりました。日本ではまだ日が浅いですが、欧米では以前から行われている検査です。

脳の働きは、脳内の神経伝達物質の活動そのものです。

脳から出た指令は、ドーパミンをはじめとする伝達物質伝えてくれます。その働きが鈍くなることで、認知症やうつ病などの精神疾患が発症します。鈍くなる原因は様々ですが、ドーパミンの不足も大きな原因です。

ドーパミンは指令を伝えたあと、一部は再利用されます。その機能に異常がでると、伝達機能が鈍くなり認知症発症の原因となることがあります。

その再利用システムの働きを見るのがdat scan検査です。この薬剤の集まっている部分は、再利用システムの機能が正常で、少ないところは機能が低下しているところです。

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正常例:黒質線条体が三日月状に見えている

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異常例:黒質線条体が点(ドット)状に見えており左右差も見られる。

従来からMIBG(次項参照)という放射性医薬品を使って心臓の交感神経機能が評価されてきました。

心臓の交感神経機能と脳の交感神経機能には大きな相関性がみられ、信頼性の高い検査として利用されてきました。

datscan検査は、MIBG検査とまったく同じものを評価しているわけではありませんが、MIBG検査より早期に交感神経機能の低下が検出できるといわれています。

日本では、まだまだデータが少ないですが、これからはMIBG検査と共に認知症画像検査のスタンダードになっていくことでしょう。

<関連記事>新しい認知症の検査:Dat scan(ダットスキャン)検査について
認知症検査に新たな風が吹く!脳疾患診断薬「dat Scan」ついに発売開始

MIBGによる交感神経シンチグラフィ検査

心臓には多くの交感神経が存在します。交感神経の信号伝達はノルエピネフィリンという物質が担っています。このノルエピネフィリンと性質が似ているのがMIBG(Meta-iodobenzyl-guanidine)です。123Iという放射性核種と結合させて使われます。

MIBG検査では心臓の交感神経におけるノルエピネフィリンの再利用機構(再取り込み機構)であるUptake1の働きをみることができます。

働きが正常であれば多く集まり、少なければ集まりが悪くなります。また、MIBGの集まる割合を求めたH/M比を算出することで数値として低下の程度を算出することができます。

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正常例:心筋にMIBGが集まっている

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集積低下例:心筋にMIBGはほとんど集積していない

縦隔と心筋のMIBGの集まりの割合を計算するとH/M比が求められます。一般的にH/M比が2.0以下では異常な低下としています。(施設によって基準値は異なります)

認知症になる前に早めに対処しましょう

認知症の診断は、とても複雑です。認知症のタイプ、加齢の影響やその人の性格、生活環境などが混ざって様々な症状となります。

1つの検査でこのタイプの認知症だと判断することはできませんので、いろいろな検査を行って総合的な判断が行われます。

多くの人は「自分は違う!」となかなか認めたがりません。それが治療開始の遅れにもつながります。
認知症は、自分ひとりの問題ではありません。

認知症は多くの人を不幸にする

発症してしまったら治療には家族の協力が不可欠です。

重症の認知症患者さんを抱えた家族の負担は想像以上に大きいものです。重症になり家族の平穏な生活、人生を壊す前に、なるべく早く診察を受けましょう。

現在は残念ながら特効薬はありませんが、発症を遅らせたり、症状を軽くしてくれるお薬が多数あります。その薬もどのタイプの認知症か分からないと使えませんし効きません。

必ず専門外来に行きましょう

診察を受けるのは、やはり専門の病院が一番です。脳の専門家にもいろりな分野があります。専門外の先生だと「歳のせいです」とか「様子をみましょう」となり見逃される可能性が大きいです。

一度そう言われてしまうと、その後専門の先生の診察を受けるチャンスを失ってしまいます。

しっかり調べて、最寄の専門の外来を受診しましょう。最近では「物忘れ外来」とか「認知症外来」などを設置している病院もあります。

いつ誰がなるか分からないのが認知症です。なってしまったら家族としてどうするか、元気なうちに家族で話あっておくのも大切です。

早期発見のためぜひ一度検査を受けてみてください。



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