Dat-scan(ダットスキャン)検査ってどんな検査?
Dat-scan(ダットスキャン)検査は放射性医薬品である123Iイオフルパンを使った核医学検査です。
日本の核医学検査としては、久々に登場した新しい検査です。
といっても、Dat-scanの検査自体は以前より世界中で行われており、検査の安全性や有効性が確立された検査です。
ダットスキャンの薬としての特徴
検査に使われる薬である「ダットスキャン静注」は 123Iをイオフルパンの形で含む放射性医薬品です。
123Iは物理学的半減期が13.27時間、放出されるエネルギーは159keVのシングルフォトン核種です。
1本(2.25ml)あたり167MBqの放射能量をもっています。薬価基準、つまりお値段は1本 56,636円です。たった2mlで5万円以上する超高級な医薬品です。
もちろん保険が利きますので患者さんの負担はそんな大きくありません。
アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症の検査に使われます
この検査の対象となる病気は認知症疾患です。パーキンソン症候群、レビー小体方型認知症における黒質線条体ドパミン神経の脱落の有無を調べることが目的となります。
それによって、とてもよく似た症状をだすアルツハイマー病などとの鑑別(どちらか見分けること)を行うことができます。
黒質線条体ドパミン神経終末部のドパミントランスポーターの分布を反映した画像が得られます。
検査の方法に関して
放射性医薬品を使う検査ですので核医学検査室で行われます。検査当日は最初に核医学検査室でダットスキャンの注射が行われます。
注射が終わると、その時点から3時間以上待ってから撮影が行われます。(薬が広がって取り込まれるのを待つ時間)。特に食事制限などはありませんので、その間に昼食をとることもできます。
撮影時間は約30分
撮影は SPECT装置という体から出てくる微量の放射線を捕らえて画像にする装置を使って行われます。
検査用の寝台に寝て、約30分の検査です。その間は特にすることはありませんので、寝てしまっても大丈夫です。
ただし、検査中は2つの大きな検出器が頭の近くで回転するので、少し圧迫感があるかもしれません。
検査が終わればそのまま帰宅できます。食事やお風呂、普段飲んでいる薬など普段通りの生活をして大丈夫です。
この検査で何を調べているのか?
主治医の先生から検査の説明は受けたとしても、結局何の検査?と思っている人も多いと思います。
頭の撮影をしますので、当然調べているのは頭の中です。
脳は体中にいろいろな指令を出しています。その指令を伝えるのは、脳に張り巡らされた神経回路であるシナプスです。
しかしこのシナプス同士はつながっていません。それぞれがわずかに離れています。そこで、神経伝達物質が活躍します。
脳のある部分から指令(信号)が発信されると、その信号は神経を通って伝わります。
神経同士は少し離れていますので、信号が端までくると、ドーパミンなどの神経伝達物質が飛びだし、次の神経に飛び込みます。(上図参照)
いわゆる伝令のような働きをしてくれます。この働きによって信号は離れた神経に伝わります。
さて、神経に飛び込んだドーパミン(神経伝達物質)はその後どうなるでしょう?一部は分解されますが、その他は回収されてまた再利用されます。
この回収する働きをするのがトランスポーターです。パーキンソン病、レビー小体型認知症では、このドーパミントランスポーターの密度が低下するといわれています。
つまり、この働きが低下しているかどうか調べることで、どのタイプの認知症かをしる手がかりになります。
dat-scan検査ではこの働きを見ています。
ドーパミントランスポーターの量や働きを可視化する
現在知られている認知症はたくさんありますが、そのなかでアルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症はもっとも知られている認知症です。
認知症の症状には記憶障害、見当職障害、判断力の低下などの中核症状などのほかに、体が震える本態性振戦や歩行障害などがあります。
異なるタイプの認知症でも同じような症状をもっていることが多く、どのタイプの認知症か判断できないことがあります。
症状が同じでも原因はそれぞれ違うので、治療法を決める上でもどのタイプか知ることは非常に大切です。
認知症の種類によって低下する機能が違う
認知症の中でもパーキンソン病、レビー小体型認知症は、黒質にある細胞が変性して働きが弱くなることが分かっています。
黒質では神経伝達物質であるドーパミンが作られていて、線条体という部分を通って広がります。そこから大脳基底核とそれに指令を与える大脳皮質に枝を伸ばしてドーパミンを分泌します。
この部分は技能を磨いたり、行動を習慣化したり、個々の行動をどのような順番で行ってさらに組み合わせて行動を起こすかを考えたりする働きをしています。
そのため、変性によってドーパミンが少なくなると、立ち上がったり、歩こうと思っても、どういう順番で筋肉を動かしていいのか分からなくなって立ちすくんだり、手足や体がが震えたり、運動そのものができなくなってきます。
そのほかに物覚えが悪くなったり反応が鈍くなり、集中力や注意力も失われ、無力感、無気力になったりします。
正常な細胞であればドーパミントランスポーターも存在し働いています。よってドーパミントランスポーターの量を調べることで、細胞が障害を受けていないか調べることができます。
dat-scanによるSPECT画像
Dat scanは、黒質線条体にあるドーパミントランスポーターに結合する性質をもっています。
Dat scanを注射してSPECT撮影をすることで、ドーパミントランスポーターの脱落の有無を知ることができます。
正常な人の画像はこのような感じです。三日月上に線条体が見えています。
パーキンソン病、レビー小体型認知症など黒質のドーパミントランスポーターの脱落があると、このようにdot(点)状になります。パーキンソン病では左右差が出やすく、症状のあるほうがよりdot(点)に近い画像になります。
いままでとこれから
これまでは認知症の画像検査としては、脳の血流を評価知る方法や交感神経機能評価には123I-MIBGという放射性医薬品を使って心臓の撮影を行っていました。
MIBGでが心臓の交感神経の機能を評価することで、間接的に脳の交感神経機能を評価していたわけですが、直接脳を見ているわけではないこと、心筋虚血や心筋梗塞などの別の要因によって心筋細胞に障害があった場合は評価が困難でした。
直接脳の交感神経機能の情報を得られるダットスキャンは認知症検査において、これから大きな役割を果たしていくかもしれません。
おおよそ理解することが出来ました。
間もなく検査を受けます、ありがとうございました。
6月28日に頭部断層撮影mri撮影<頭部>
<脳> ダットスキャン静注 167MBg 1筒 済ませて帰りましたが 内容の説明もなく署名欄のサインもせず終了しました。終了後 右の耳に引っ掻き傷があり瘡蓋となっていました。その後右耳から音楽が1日中流れて不眠となってます。何が原因なのでしょうか?
耳鳴りもひどく右耳は聞こえなくなってしまい 質問をしましたが?だけで説明もなく不安な日々をすごしてます。まだ耳鳴りは続いています。いつまで続くのでしょうか?
コメントありがとうございます。大変申し訳ありませんが、このサイトは医療相談ブログではございません。主治医の先生にご相談頂いた方がよろしいかと思います。お大事になさってください。
明日、この検査を受けます。閉所恐怖症です。喘息のような症状も持っていて、ずっと頭を動かさず同じ姿勢で耐えられるか不安です。あと、大きな音がしたりするのでしょうか。教えてもらえると嬉しいです。
御質問ありがとうございます。検査時間は約30分となります(この検査は、検査後にどれくらい薬剤が集まったか計算することが多く、そのために十分に時間をかけてとる必要があります。)大きな音はしません。静かに機械が頭の周りをまわります。ただ、頭のまわりぎりぎりを回るので、かなり狭く感じるかもしれません。喘息をお持ちとのことでしたが、軽い咳程度であればそんなに問題になりませんが、画像がぼやけたり、計算結果に誤差がでる可能性はあります。