加湿器が原因で起こる怖い呼吸器疾患
寒くなってくるこれからの季節は暖房が欠かせません。
暖房をいれると室内が乾燥するため、加湿器などで加湿する機会も多くなります。
十分な加湿は粘膜を保護し、風邪などの予防に効果的です。
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しかし注意が必要なのが加湿器病です。
加湿器病とは
加湿器から出てくる蒸気に含まれる雑菌やカビが原因となる呼吸器疾患です。
医学的には過敏性肺臓炎と呼ばれるアレルギー性の肺の病気です。
原因は加湿器の貯水タンク又はユニット内で繁殖した雑菌(カビ)が、加湿器から出る蒸気と一緒に放出され部屋中に広がることです。
蒸気とともに細かい霧状になっているため、口や鼻から吸い込みやすく肺や気管支の奥まで達します。
異物が入り込むことで強いアレルギー反応が起こります。
症状としては、軽い場合は、咳・発熱・悪寒・全身倦怠感など風邪と似たような症状ですが、重い場合、アレルギー反応が強くなり、咳が止まらなくなったり呼吸困難となることもあります。
加湿器病を防ぐには、加湿器の使い方やタイプに十分気をつける必要があります。
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加湿器病を引き起こしやすい加湿器のタイプ
もっとも加湿器病を引き起こしやすいのが超音波式の加湿器です。
超音波式の加湿器は、水蒸気を超音波で作り出します。高周波で振動させられた水分が細かい粒子となって空中に放出され加湿されます。
貯水タンクなどの手入れを怠り、雑菌やカビなどが繁殖してしまとそれがそのまま放出されてしまう可能性があります。細かい粒子は、吸い込むとそのまま肺や気管支などの奥まで届くため、大変危険です。
また、水道水に含まれる塩素などの除菌成分は、超音波の振動によって早い段階で蒸発してしまいます。
不純物も多く含まれるため、TVやパソコンの液晶に水蒸気が付着し乾燥すると、変色などのトラブルを起こすこともあります。
貯水タンクに次亜塩素酸などの除菌剤をいれれば安全?
最近、加湿器のタンク内の水の除菌を目的に加湿器で使える除菌剤が販売されています。
フィルターなどを使う気化式のものには有用ですが、超音波式の加湿器では超音波によって除菌成分がすぐに気化してしまい十分な効果を発揮できません。
超音波式加湿期が普及した要因
従来はスチーム式や気化式といったタイプの加湿期が主流でした。
しかし、スチーム式は沸騰させるため本体や蒸気が高温になるためやけどなどの事故が問題となりました。気化式は熱くはなりませんが、気化させるためにファンの音が大きかったり、本体が大型になってしまう欠点がありました。
そこで考えられたのが超音波式です。
超音波式は、
①すぐに加湿が始まる
②加熱の必要がないため、加湿部や蒸気が熱くならず子供やペットがいても安心
③加熱の必要が無いため消費電力が少ない
④小型ができるため、デザイン重視で作れる
⑤安価に作れる
などの利点があり、爆発的に普及しました。
しかし、加湿器病を引き起こすことが分かり、最近では盛んに注意喚起されています。
加湿器病を予防するには
こまめな清掃、タンクに水を継ぎ足さないなど十分に清潔にすることで、健康被害をある程度抑えることは可能ですが、超音波式はできるだけ使わないことをお勧めします。
特に子供や高齢者がいる、ぜんそくなどの呼吸器疾患がある人がいる場合は、禁忌といってもいいと思います。
※超音波式の中でも高価な機種では、雑菌を繁殖させにくくする機能が付いているものもありますが効果は限定的です。
一度煮沸されるスチーム式がもっとも雑菌(カビ)が少なく安全です。本体や蒸気が高温になりますが、置く場所に気をつければ安全に使えます。
気化式、ハイブリッと式はタンクの水をこまめに取り替えたり、除菌できる加湿機用の除菌剤を使用すれば安全に使うことができます。
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