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アルツハイマーとパーキンソン病の診断に。Dat scan(ダットスキャン)による認知症検査

Dat scan(ダットスキャン)による認知症検査

「ごまろぐ」でも何度か紹介してきた認知症診断薬「dat scan」ですが、実際どんな検査なのかもうちょっと細かく紹介していきます。

核医学検査

Dat scan検査は核医学検査の1つです。

核医学検査とは体内に放射性医薬品を投与して、その分布や量を見る検査です。放射性医薬品は、放射線を出すラジオアイソトープ(Radio Isotope : 以下RI)と、体で使われる物質又はそれに近い化合物に結合させたものです。

例えば、肝臓に取り込まれる成分とRIを結合させて、体に注射すれば肝臓の中に広がりますします。
RIからは放射線が出てくるのでそれを画像化すれば、その様子を見ることができます。

分布や量、肝臓からの出て行く様子を見ることで肝臓の機能が分かります。
その他、さまざまな検査がありますが、目的に合わせた放射性医薬品が使われます。

放射線医薬品はとても高価!

datscan

放射線医薬品は、かなり特殊な薬であること、時間がたつと使えなくなるため、とても高価です。

Dat Scanの価格
Dat Scan1本は約2.25mlですが、56,636円/もします。

放射線による影響はある?

核医学検査では、放射線を出す放射性核種が使われます。

放射能というと怖いイメージがありますが、心配はいりません。放射性医薬品に含まれる放射線量は微量です。また使われる核種は、半減期が短いものばかりです。

半減期とは
放射性核種は時間と共に放射能量が減っていきます。半減期は放射能量が半分になる時間です。半減期が2時間のものは2時間後に半分、4時間後には1/4, 24時間後には1/2048まで減ります

また、体内に入ってもおしっこや便などから早い段階で排出されます。
核医学検査には古い歴史があります。そのなかで微量の放射線による安全性は十分に確認されています。

検査の流れ

放射性医薬品を扱える場所は放射性管理区域に限られています。

通常、核医学検査関連施設は待合室も含めて放射性管理区域に指定されています。
Datscanの注射は管理区域内に設置された投与室で行われます。

注射は静脈注射(採血などと同じ場所に注射します)で行われます。注射後は、薬剤が体に取り込まれるまで充分な時間をおきます。

Dat scanの場合は3時間以上待つことが推奨されています。
注射後は撮影の時間まで自由に過ごすことができます。食事も大丈夫です。

撮影

撮影はSPECT装置を使って行われます。寝台に寝て頭だけ、機械の中に突っ込む感じです。

2つ又は3つの検出器が頭の周りをゆっくり回って撮影していきます。
撮影時間は施設によって違いますが、だいたい約30分くらいです。

撮影中は機械から音がしたり振動したりすることはありません。寝てしまってもには問題ありません(動いてはダメですが・・・)

SPECT装置

検査後

検査が終わったらそのまま帰宅することが可能です。撮影された画像のデータは専用のコンピュータとソフトを使って処理されます。

画像の読影

処理された診断用の画像を見て、異常がないか調べることを「読影(どくえい)」といいます。

大きな施設では、画像の専門家である放射線科の医師(放射線科医)が読影してレポートを作成し診療科の医師へ渡します。

放射線科医がいない病院では診療科の医師が画像をみて判断します。

Dat scan検査で見ているもの

Dat scanでは黒質という部分の線条体にあるドパミンのトランスポーターを見ています。

640px-Striatum
赤いところが線条体です。

人体は脳からの指令で動いてます。例えば指を動かすのも、座るのも脳から出る複雑な指令で行われています。

脳の神経同士はつながっていない

脳の神経は大脳だけでもで数百億個あるといわれており、脳全体では千数百億個になります。この神経同士はすべてが繋がっているわけではありません。

このようにつなぎ目の一部が離れています。

このつなぎ目の離れている間は、神経伝達物質が飛び出して次の神経まで信号を伝えてくれます。ドーパミンもその1つです。

信号を伝え終わったあとドーパミンは分解されますが、一部は回収されて再利用されます。ドーパミントランスポーターはこの再利用を行う部分です。ドーパミンの回収機構であるドーパミントランスポーターに異常があれば、線条体のドーパミン神経が障害を受けていると推測することができます。

Dat scanはこのドーパミントランスポーターに結合する性質があります。

線条体にあるドーパミントランスポーターが正常であればdat scanが集まり、三日月状の形になります。

なんらかの異常があれば三日月の下の方の集積が低下していきます。大きな異常があれば先っぽだけ残りドット(点)上の画像となります。

Dat scan検査で分かること

この検査で、こう見えたからのこの認知症!!ということはできません。

認知症疾患のなかには黒質線条体ドパミン神経に異常がでる疾患とそうでない疾患があります。その認知症も症状が似ているためタイプか判断が付かないことがあります。

この様なときDat scan検査を行うことでどのようなタイプか知ることでできます。

線条体2

線条体全体に集まっている場合、赤線の断面で輪切り画像をつくると三日月状になります。

Normal

代表的な認知症とドーパミン神経異常の有無

三日月状に集まる(集積正常)
正常,アルツハイマー型認知症

Normal

ドット状に集まる(集積異常)
パーキンソン症候群、レビー小体型認知症

abnormal

認知症はタイプによって治療方法がまったく違います。Dat scanによって認知症のタイプが分かれば、早期に治療を始められます。

また、dat scanの集まる比率を求めることで、重症度も数値化してあらわすことができます。そのため経過観察にもとても役に立ちます。

dat scan検査のこれから

Dat Scan検査はこれまで行われていた認知症の画像検査すべてに置き換えられるわけではありません。しかし、今まで得られなかった情報を臨床の現場に提供できるのは確実です。

日本ではまだ始まったばかりの検査ですが、これからどんどんデータの蓄積が進んでいけば重要度がますます上がっていく検査です。



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