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認知症検査に新たな風が吹く!脳疾患診断薬「dat Scan」ついに発売開始

認知症と最新の診断法

高度な医療技術と安定した政治、優れた保険制度によって、日本では質の高い医療を受けることができます。
それに伴って、平均寿命も年々伸びており世界トップクラスの超高齢化社会を迎えています。

そのため、高齢者の認知症の問題も大きくなってきています。

全国の認知症の高齢者は2012年時点で推計550万人に達し、20年前の6倍にのぼることが、九州大の清原裕教授(環境医学)らの研究でわかった認知症の予備軍とも言える軽度認知障害(MCI)の高齢者も推計310万人で、早急な認知症対策が求められる。 (2013年12月12日 読売新聞)

これから更なる高齢化社会を迎える日本にとって認知症は大きな問題です。介護を行う施設も不足しており、介護関係者の人手不足も問題になっています。

認知症とひとことで言っても原因は様々です。脳外傷や脳腫瘍、脳炎などが原因となる認知症や脳の血管障害で脳の機能が低下する「脳血管性認知症」、何らかの原因で脳の神経細胞が変性したり脱落していく変性性認知症(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症)などがあります。

割合としてはアルツハイマー型認知症が5割、レビー小体型認知症が2割、脳血管性認知症が2割、その他が1割です。

診断と治療法

「何らかの原因」で神経の変性と脱落を起こす変性性認知症ですが、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症は原因が違うため治療方法も異なります。

医療の現場ではどちらのタイプか判断が難しいことがあります。そこで頼りになるのが画像診断です。

萎縮の程度や場所を見るのにはMRIが一番有用ですが、萎縮の程度が小さい場合も多く判断が難しいことがほとんどです。

そこで認知症の診断には核医学検査が行われます。

核医学検査による認知症診断

どのタイプの認知症でも脳の血流に異常が現れています。血管障害が起きている場所、変性や神経脱落によって活動が低下している場所があれば当然脳血流は低下します。

脳血流検査は認知症のタイプ診断に大きな役割を果たします。

E-ZIS

これは脳血流SPECT検査で得られたデータを統計学的に解析したものです(E-ZIS)
青い部分は正常に比べ血流が低下している部分です。
この分布を見ることである程度認知症のタイプを判断することができます。

ただし初期の認知症の場合は血流低下の割合が少なく判断しにくいことも多いです。

種類と特徴

アルツハイマー型の認知症とレビー小体型の認知症の最も異なる点は交感神経機能です。

交感神経はドーパミンの分泌に大きく関わっています。アルツハイマー型の場合は交感神経機能は保たれていますが、レビー小体型の場合は交感神経機能が低下することが知られています。

アルツハイマー病と同じような症状を出すものにパーキンソン病があります。

パーキンソン病も神経の変性や脱落が知られていますので交感神経の低下が見られればパーキンソン病又はレビー小体型認知症の可能性が高くなります。

※パーキンソン病と同じような症状を示すパーキンソン症候群は、交感神経の脱落はありません。よってパーキンソン病かパーキンソン症候群の鑑別にも有用です。

MIBG交感神経シンチ

MIBGはドーパミンときわめて近い動きをする成分に、123Iと呼ばれる放射性核種をくっつけたものです。この123I-MIBGを使ったMIBG交感神経シンチは交感神経機能をみる検査です。

しかし、検査するのは脳ではなく心臓です。心臓には多くの交感神経があるため、レビー小体型の認知症では心筋の交感神経機能も低下します。そのため、間接的に脳の交感神経機能を評価することができます。

この検査により交感神経機能を評価することができるためアルツハイマー型とレビー小体型の鑑別(区別)することができます。現在では十分なエビデンスが得られておりスタンダードな検査となっています。

MIBG

新しい薬剤「dat scan」

MIBG検査は日本で発展した検査です。欧米では別の薬を使った検査がスタンダードとなっています。

それが「イオフルパン」を使ったドパミントランスポーターイメージングです。脳内の黒質線条体ドパミン神経の終末部に存在するドパミントランスポーターの評価を行う検査です。

米国や欧州など、すでに34の国や地域で承認されていて、パーキンソン症候群やレビー小体型認知症の標準的診断法として利用されていますが日本でもついに認可され2014年1月より発売が開始されました。

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dat scanは黒質線条体を直接評価できるためMIBGによる心筋交感神経機能検査以上の診断能の向上が期待されています(心筋の評価だと心筋自体に虚血病変などがあると評価できないため)

早期発見早期治療ができれば、症状の進行も遅らせることができ介護をする家族の負担も軽減します。

自宅で介護をしている人にぜひ読んでほしい。認知症介護びっくり日記

まだ日本では発売されたばかりのため、日本での報告は少ないですが、高齢化社会を迎える日本の認知症診断に新たな風が吹くことは間違いなしです。

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2 COMMENTS

伊藤 得志男

DAT検査とSPEEC検査は同じものでしょうか・
保険適用で検査できますか。
CT検査で海馬の萎縮で診断するのとはどんな利点があるのでしょうか。

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goma

コメントありがとうございます。DATScan検査はSPECT検査の1種です。病院を受診して認知症の疑いと診断されれば保険適応で検査を受けることができます。脳の委縮はCTでもある程度できますが、MRIの方が詳細にわかります。被ばくも考えると、海馬の委縮はMRIで診断することの方が多いと思います。海馬は、記憶と関連しているので、委縮があるか?腫瘍などの病気によって破壊さされていないかを見ることで、物忘れが認知症のせいなのか?その他の病気のせいなのかを判断するのに役立つと思います。ただ、認知症の検査や診断は非常に複雑ですので、いろいろな検査をして総合的に判断することが多いと思います。

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