脊髄空洞症とキアリ奇形|大後頭孔減圧術を経験しました。

脊髄空洞症って何?

脊髄空洞症(Syringomyelia)は、何らかの原因で脊髄に空洞を形成する慢性の進行性の疾患です。

疫学的な特徴

患者数は正確には把握されていませんが、2008年に1年かけて行われた全国の疫学調査では推定2500人程度と推定されていますが、実際はそれよりもかなり多いとされれています。外来受診患者に対する割合は0.3~0.4%程度と言われています。

原因はキアリ奇形に伴うものは半数、脊髄腫瘍、外傷による脊髄損傷に伴うものがそれぞれ10%程度割、脊髄くも膜炎に伴うものが6%程度とされています。

男女比はほぼ同じで、発症年齢は6~15歳の小児期と30~40歳の成人期の2層にピークがあるとされています。

主な症状

脊髄に空洞ができるとそこに脊髄液がたまりはじめます。神経の束である脊髄の中に空洞ができて神経を圧迫するため神経を刺激します。

この病気の発症は、上肢のしびれが最も多いです。腕や手がしびれて感覚がなくなります。温痛覚障害も起こるため痛みや熱さ、冷たさが分かりません。その他に、回転性のめまい下肢のしびれ、痛みもでることがあります。

症状の経過

自然に治ることはまれです。ゆっくりですが確実に進行していきます。脊髄内の空洞は次第に大きくなり、脊髄の神経を圧迫していきます。

痺れなどの症状が強くなってくると重篤な状態になることもあり、車椅子生活を強いられてしまうこともあります。

脊髄空洞症は、非常にまれな病気です。専門の医師でないとこの疾患の可能性を疑うことは難しいとされています。(痺れやめまいなどは様々な疾患でも出る症状だからです。)

大学病院または総合病院の脳神経外科の受診をおすすめします。

脊髄空洞症の検査

脊髄空洞症は以前はわからない病気でした。

しかしMRIの登場で、簡単に分かる病気になりました。実際、症状がでる前に脊髄空洞症と診断される人の多くが、交通事故や腰痛、首の痛みなど別の病気の検査でMRIを撮った時に見つかっています。脊髄腫瘍が疑われる場合は造影MRI検査も行われます。

脊髄空洞症と診断されると定期的に脳及び脊髄のMRI検査を受けて経過観察することになります。

脊髄空洞症の治療法

脊髄空洞症の原因はいくつかあるので、それによって違います。

もっとも多いキアリ奇形

キアリ奇形は、脳の一部である小脳と呼ばれる部分が正常な場所より少し下がっている(下垂)している先天性の奇形です。奇形といっても小脳自体の機能は正常です。位置が少し違うだけです。

白い矢印が小脳の下の部分です。すぽんとはまっているのが分かると思います。

本来は小脳の前側に部分(赤矢印)に脳脊髄液の流れ(白く写っているのが脊髄液)がなければいけませんが、位置が低いためふさがれています。このため脊髄の流れる行き場所がなくなり、脊髄の中心管に流れ込んでしまうと考えられています(正確にはわかっていません)。

キアリ奇形が原因のときは、この小脳の位置を動かしてあげる手術をします。大後頭孔(だいこうとうこう)減圧術が一般的です。

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この画像はCTで撮ったものです。実は私自身です。頚椎の2番を切って減圧しています。それによって小脳がちょこと浮いた状態になり正常の位置に戻るというわけです。

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この2枚の写真はMRIの特殊な撮影法(CINE‐PC)で脳脊髄液の流れを見たものです。白く見えるところは脳脊髄液の流れがあるところです。

上が手術前で下が手術後です。小脳の後ろ側に白い筋が出ているのがわかります。わずかですがこのスペースのおかげで減圧されています。これで効果がないとシャント術が行われます。

手術を経験して

自分が脊髄空洞症だとに気づいたのは手術の8ヶ月くらい前でした。たまたま別の目的でMRIをとる機会があり、その時にわかりました。

とても驚きました。しびれが無いのが不思議、立っていられるのが不思議と医師に言われました。キアリ奇形が疑われましたが、念のため造影検査もして脊髄腫瘍が無いことを確認しました。

その時は症状が無かったのと、手術を決心できなかったので経過観察していました。しかし、それから半年後に突然回転性のめまいや手の痺れや温痛覚障害がでて、足の裏もしびれるようになりました。

ついに手術をすることに・・・

そしてついに手術をしました。大後頭孔減圧術です。いざやるとなると、開き直ってしまいあまり怖いとは思いませんでした。脳外科の先生に聞くとそんなに難しい手術では無いらしいです。

まあ頭蓋骨をはずしたり脳を直接いじるわけではないので脳外科的には簡単な部類なのでしょう、きっと。
でも全身麻酔だし、不安はあったのは確かです。

でも一番いやだったのは尿道にフォーレをいれることでした・・・(笑)

手術は約2時間。減圧後はエコーで小脳の位置を確認して終わりました。首の筋肉を一部切ったためその痛みに2,3日苦しみましたが術後5日で退院し、実家に新幹線で帰りました。

そのときはビールを飲んでたくらいなので、回復も早かったと思います(笑)

その後

現在は定期的にMRIを撮っていますが、脊髄の空洞は少ししか縮小していないように見えます。でも広がってはいません。症状も一切ありません。

いずれにしても、偶然とはいえ早く見つかって早く治療できたことは運が良かったと思います。

同じ脊髄空洞症で苦しんでいる方、悩んでいる方が一日も早くよくなることを願っています。

追伸:いきむと後頭部が痛くなる人へ

後から分かったんですが、実は脊髄空洞症に関連する症状が小さい頃から出ていたことがわかりました。

それは後頭部痛です。いつ痛くなったかというと、トイレで〇ンチをしするときです。小さい頃から不思議に思っていました。〇ンチをしようといきんでいると、そのあと後頭部が締め付けられるように痛くなっていました。

気を失うことはありませんでしたが、かなりの痛みでした。その他にたくさん笑った時、風船を膨らました時、腹筋をした時などです。つまりおなかに力をいれて腹圧をかけたときです。実はこれキアリ奇形に特有の症状だそうです。

もし同じように後頭部が痛くなる方、原因不明の手足のしびれがある方で該当する方は一度検査をおすすめします。

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