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乳癌の転移を調べる骨シンチ検査とは?どのような仕組みで何が分かるのか?

骨転移を調べる骨シンチグラフィとは?

ある日病院で先生に「骨(こつ)シンチグラフィ(骨シンチ)」を撮りましょうといわれても、すぐにピンと来る人は少ないでしょう

おそらく大半の人は骨?シンチ?なんだろう?となることでしょう。

それもそのはず、この検査は極めて特殊な検査です。

仮にその場で先生に骨シンチグラフィってなんですか?どういう検査ですか?と聞いたとしても、仕組みまで詳しく説明できる先生はあまりいないと思います。

今回は骨シンチグラフィについてわかりやすく解説します。

骨シンチグラフィは核医学検査の一種です。

骨シンチグラフィ(略して骨シンチともいいます)は、病院で行う核医学検査の一種です。核医学検査とは放射性医薬品を使った画像検査です。

放射性医薬品と核医学検査

放射性医薬品とは体内で使われる成分、またはそれに近い成分に放射性核種(放射性同位体)を結合させたものです。

体で使われる成分に放射性核種を結合することで、その成分が体のどこ広がって、どれくらい使われているかを知ることができます。

例えばバセドウ病の検査

甲状腺ホルモンの原料となるヨードは甲状腺にあつまります。このヨードに放射性核種を結合させて体内に投与すると、ヨードは甲状腺にあつまります。

放射性核種からは微量の放射線がでていますので、外から特殊なカメラで撮影することで、どこにどれくらい集まっているかを知ることができます。

バセドウ病は甲状腺の機能が強くなりすぎて起こりますので、この検査をするとヨードが過剰に集まっている様子が分かります。

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正常例:左右均等にヨードが集まっている

 

 

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バセドウ病例:左右差があり全体的にヨードが過剰に集まっている

骨シンチグラフィはどんな検査?

骨シンチグラフィは、読んで字のごとく骨を対象とした検査です。骨の材料といえばミネラル(ハイドロキシアパタイト)です。

このミネラル成分と近い性質を持った成分と99mTc(テクネシウム)を結合したものがMDP(HMDP)と呼ばれる放射性医薬品です。

MDPは体内に投与されると骨の材料として骨に取り込まれます。MDPから出てくる放射線の分布や量をみることで骨の代謝をみることができます。

※放射性核種から出てくる放射線は時間と共に弱くなります。骨シンチで使われるテクネシウムは半減期が6時間なので6時間でエネルギーが半分になり、そのまた6時間後にはさらに半分(最初からみれば1/4)となります。
注意

放射性医薬品は予定の時間に使わなければ、放射線の量が足りなく、検査用の薬としては使えなくなります。そのため、ものすごく高いお薬となります。1mlで2万円位します。

当日に検査をドタキャンすると・・・その分は病院の負担とになります。後日患者さんに請求されることはあまりありませんが、病院によっては後で何か言われるかもしれません。

 

骨の代謝の仕組み

人間の骨は常に成長しています。作るのと壊すのを同時にしているため骨が増えたり、長くなったりすることはありません。

MEMO
骨を作る造骨細胞と骨を壊す破骨細胞は常に働いているので、材料のミネラルは常に使われています。成人では全骨格の3~5%が常に新しいものに置き換わっています。

骨転移とは?

転移とはある場所で発生した癌の細胞が血液やリンパを通って広がり、別の場所で癌となることです。

広がり方は癌の種類によりますが、血液やリンパ管などを通って広がる割合が多いとされています。

広がった癌細胞が骨に到達し、骨髄で増殖したものを骨転移といいます。

骨髄は豊富な血流がありますので、転移しやすく、進行性の乳癌や前立腺癌では6~7割、進行肺癌でも3~4割が転移するといわれています。

骨転移と骨の代謝

さて、骨転移が起きると何が起こるのでしょうか?

転移した癌細胞はまず、骨を壊す破骨細胞に働きかけ活動を活発化させます。

破骨細胞によって骨は過剰に壊され、その結果骨髄部はスカスカになります。そのスペースに癌細胞が入り込みさらに勢力を拡大していきます。

骨の破壊によって骨細胞より増殖因子が放出されるため癌細胞はさらに増殖していきます。

がん細胞の種類によって転移の仕方が違う

このとき癌細胞の種類によって、破骨細胞だけを活発にする場合と造骨細胞も活発にする場合があります。

造骨細胞が破骨の細胞の活発を上回ると、骨の表面に何層もの骨が作られていきます。

また、破骨細胞が活発になると骨はどんどん壊れてスカスカになっていきます。

このように骨転移は骨の正常な成長のサイクルを乱していきます。

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骨シンチグラフィはこんな検査

造骨細胞がより活発な転移部分では、骨が多く作られるためMDPが多く集まります。

また、破骨細胞が活発な溶骨性転移では、骨が作られないため、ほとんど集まりません。

どちらにしても正常な部分と比べて画像に違いがでてきます。このように骨シンチグラフィは骨のミネラルの代謝をみることで、骨転移を見つけ出すことができます。

Photo:an unusual superscan By:Tom Heston MD
Photo:an unusual superscan By Tom Heston MD

骨は常に成長しているので、正常な骨などにも軽度集まります。注射で体内に入ったお薬の半分は尿と共に膀胱に集まります。

このまま検査をすると

  1. 膀胱にあるお薬からの放射線で膀胱や生殖器などが被ばくする。
  2. 膀胱付近病変と重なってしまい骨転移を見逃す可能性がある。

などの可能性があるため、必ず検査直前にトイレの行くように指示がでます。

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黒く見える部分がMDPが多く集積している部分=骨転移部分です。

よくある誤解

骨シンチ検査では骨転移がわかりますが、癌細胞に薬が集まるわけではありません。骨の代謝(成長)が進んでいる部分に薬が集まります。

骨の代謝が進む原因はたくさんあります。骨折や打撲、炎症でもあつまりますので薬が集まる=骨転移というわけではありません。つまり、非常に紛らわしいことが多いです。

他の検査なども含めて総合的に判断されます。

まとめ

骨シンチグラフィの仕組みについて簡単に紹介しました。

検査時間は1時間程度かかりますが、横になっているだけの検査です。

音もしないので寝ていても大丈夫です。あまり心配しないで検査をうけてくださいね。

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